ニュールックで世界的名声を博し、すでに円熟の境にあったクリスチャンディオールは、1954年アシスタントに迎えた17歳のイヴ・サンローランをこう呼んだ。無限の光りをたたえた青い瞳、やせぎふの格好いい長身、そしてきらめく感性。
当時のサンローランは、いかにも「プチ・プランス」の名にふさわしい雰囲気を備えていた。
この「プチ・プランス」が生まれ、17歳までを過ごしたのは、アルジェリアの港町オランだった。
「夫は公証人で、私たちはとてもよい暮らしをしていました。イヴは、子供時代から無口でシャイ。器用に人形の衣装を作って、妹たちと遊ぶのが好きでした」。サンローランの才能の第一発見者であり、80歳を過ぎてからも息子のコレクションを見守り続けた母親リュシエンヌの言葉だ。
- Newer: カルバン・クラインの歴史